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環境系テーマでプロダクトデザインを考える時の参考書 [プロダクトデザイン]

先日、とあるデザイン系学校のとある学生から「エコ」をテーマにした作品についてコメントを求められた。

学生くんの作品説明には、「環境を考えて…」「地球に優しく…」「無駄なものを減らして…」と、メディアの活字そのままのフレーズが多く飛び出してくる。

こちらが、どの程度の資料を読んで、そういう仮説を立てたの?…と質問するが、2、3冊の雑誌の特集を見ただけ、あるいはネットで数カ所の記述を読んだだけ…という。
ならば…と、1つの事象についての別の視点を提示したところ、それはあり得ないという表情に続き、「だって環境に悪いって言われてる事は問題じゃないですか…」ときた。
こちらからは、「だから、環境って机の上の消しゴムみたいに、つまんでポイとはできないんだよ。そもそも我々自身が、一繋がりになっている環境の中にいるんだからぁ…」という切り出しで、「どういう環境の変化に対して、何が、どう悪さをしてるのか。また、それを片付ける事で、逆に他の環境に与える変化にどの程度配慮がなされてるのか仮説を立ててみた?」と突っ込んだ質問もしてみたが、どうもピントきていないようだった。ん〜、結構強力な刷り込みと思い込みだ。

仕方がないので、『偽善エコロジー』という本をピックアップして、一度読んでみれば…と紹介した。『環境問題はなぜウソがまかり通るのか(洋泉社)』や、『リサイクル幻想 (文春新書)』などの著作がある、武田邦彦さんの書籍だ。

彼(学生くん)には、ある一方向からだけでなく、エコについて自分が見聞きして感じた事と、メディアを通じたキャンペーンや報道内容に加えて、武田さんの書籍に書かれているような検証結果など、いくつかの異なる視点から、そこに見られる矛盾や疑問を問題意識として、デザインに反映してみれば?…とアドバイスすることで、「そうですね。ちょっと考えてみます…」という返答をもらった。
別れ際、「そうそう、こういう場合は、書籍のカスタマーレビュー(偽善エコロジー)も参考になるよ…」と、一言付け足した。

悩もう!、考えよう!…で、手を使ってデザインしよう!。応援してるから。

偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書 (た-5-1))

偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書 (た-5-1))

  • 作者: 武田 邦彦
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2008/05
  • メディア: 新書


追記:(2008-07-24 13:53)

「お前がだまされてんだよ」さん、各情報へのリンクありがとうございます。
また、KSKさんもコメント&ご指摘ありがとうございます。

まずは「武田 邦彦さんの論説の熱心な信者…」ではないことを前置きしておきます。
そして、今回(とある学生くんとの)のエピソードから表現したかったこと2つを記します。

1つ目は、ある一方向からの資料に偏っていた考えに対して、その反対側の意見や視点も正誤含め、さまざまな書籍や情報が出ていることをまず知ろう…ということでした。「カスタマーレビューを参考に…」と伝えたのもそのためでした。

2つ目は、個人(私も学生くんも含め)では、自分自身の目や耳で一次情報を得にくい種類の問題は検証はできない(本当かウソかの正確な判断も実際はできない)…という視点から、生活者としての「疑問や矛盾」そのものをメッセージとして提案する方法があるのでは?…と投げかけたつもりでした。

「物事を多面的に見よう…」というスタンスになりにくい、判りやすく、耳障りにいい方向にのみ流されていくことが多い現代において、そういう「さまざな情報からどう考えていくのか…」という環境をどう作ってあげられるのか…というスタンスで書いたエピソードでしたが、文章表現が至らず、誤解を招いてしましましたこと、お詫びいたします。


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コメント 3

KSK

はじめまして。
いつも楽しく読んでいます。

そういう本を薦めると今時の学生は
「物事を多面的に見よう」という本質はすっ飛ばしてしまって

tetsutaroさんは武田 邦彦さんの論説の
熱心な信者だと勘違いするかもしれませんね。

デザインの現場においてはもっとも気をつけなければならない問題です。
by KSK (2008-07-24 12:19) 

tetsutaro

「お前がだまされてんだよ」さん、「KSK」さん、お忙しいところ、コメントありがとうございました。

こちらの文章が至らず、さまざま誤解を招いた点がありましたこと、お詫びいたします。

ブログ記事最後に「追記」として、補足の文章を書き足しましたので、ご確認いただければ…と思います。

今後ともよろしくお願いします。


by tetsutaro (2008-07-24 14:04) 

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