アキッレ・カスティリオーニ 〜自由の探求としてのデザイン〜 [プロダクトデザイン]
2008年の新春読書第一弾の読みたい本として年末に入手していた…「アキッレ・カスティリオーニ 〜自由の探求としてのデザイン〜」を今日読んだ。
ステータスシンボル的な「アルコ」…「タッチャ」や「フリスビー」「イポテヌーザ」「ブレラ」…と、いずれも照明器具の作品名だが、仮に名前で判らなくとも「フォルム」を見れば、「あぁ…」となるに違いない工業デザインの数々…。
作品についての逸話や背景もさることながら、カスティリオーニの物事全般に対するスタンスやフィロソフィーに触れさせてくれる貴重な本である。著書の演出家の多木陽介氏の、何年にも渡る取材内容を、雑誌アクシスでの連載を経て、大幅な加筆修正が施された力作だ。
…(略)…「人々のごく当たり前な身振りや慣習順応的態度、人が気にも止めないようなフォルムを批評的な目を持って観察することを」学びなさい…(略)…
[本文より引用]
…(略)…制作プロセスの中でゆっくりじっくり成熟しながら彼の思考は、より無駄のない、よりシンプルな方向へ向かっていくのだったが、決してフォルムが一番の目的ではないながら、彼の作品もあるフォルムには到達する。…(略)…本人にとっても始めからそのフォルムが頭にある訳ではない。彼もその「自然な」創造プロセスの中であるときそれを「発見」するのだ。…(略)…カヴァリア氏はこれを評して「授かり物としてのフォルム」という言い方をする。…(略)…
[本文より引用]
心に残った箇所を抽出しだしがら、きりがないくらいだ。自分自身のデザイン感覚のプールにはことごとく染み渡る…。トレーシングペーパーのような質感の書籍の帯には、「デザインを考え抜いて、それからこの本を読んだら、みんなここに書かれていた。深澤直人」とある。感慨深い…。
そんな中、「Ettore Sottsass, Designer, Is Dead at 90」というニュースを知った。巨星が旅立った…。ご冥福をお祈りしたい。
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