SSブログ

「ガラパゴス現象」の意味をポジティブなものに変えなくては!…の件 [問題意識]

最近の「ガラパゴス」という単語の使われ方には、ちょっとがっかり…というか残念な気がしている。例えば、次のような記事での使われ方だ。
【IT Japan】「日本はガラパゴス化現象から脱せよ」、NRIの藤沼会長兼社長が熱演:ITpro
確かに、現在の日本の状況をガラパゴス諸島のイグアナに例えた比喩としては、判りやすく伝わるし、その通りだと感じるのだが、サボテンを「はみはみ」と食べて暮らしてるイグアナの姿を思い浮かべると、イグアナファンとしては合点がいかない。彼らは環境とセットで共生している。人は、その環境を自ら選択してきたのだ。まずそれが違う!…と。
ただ、藤沼さんが締めくくったとして紹介されている言葉(「日本企業は自ら第三の開国をしていくべきだろう」)は同感だ。

次に目についたニュースなどは、「外のことは知らなかった」系の出来事。「日本の常識=世界の非常識」につながってしまうような類いの話しもガラパゴス化現象とは無縁ではないだろう。
イー・モバイルCMに批判殺到 「猿」がオバマ氏連想 - MSN産経ニュース
記事では、『このCMが放送開始前に動画サイトのユーチューブを通じて流れ、ブログで日本在住外国人から批判が続出。日本のオバマ氏の応援サイトも「アメリカの政治情勢のもと人種差別とみなされる」と抗議した』…とある。コアとなるプロダクトやサービスでケチがついたのなら仕方がないが、まったくそうではないからこそ、余計に残念だ。

じゃあ、周りを海で囲まれた状況が全てネガティブなのか…といえば、まったくそうではない。時勢や潮流から「国際競争力」と「国際共生力」を発揮すべきところが、できていない…という問題意識が「ガラパゴス現象」という言葉に現れてるだけだ。

下川さん(日経デザイン編集長)ブログ『デザインの雫』で、共感できる記事を見つけた。日本の伝統工芸や地場産業の欧州市場開拓についてのもので、日本の製品やブランドが欧州の国際見本市でも存在感を増しつつある現状が記されている。下記の引用部分は、その文章の最後を締めている段落から。
080702 日本の生活文化を欧州へ

…(略)…我々が海外の市場をターゲットにするとき、こうした社会の変化に目を向けるべきだろう。社会が変化するとき、新しいニーズが生まれる。その際には、人々の問題を根本から解決してくれるデザインが求められる。これまでに使ってきた製品の延長線上ではなく、選択の幅は広くなるはずだ。伝統的な生活文化に無理に入っていこうと思うより、変化の隙間をこじ開ける方が案外楽かもしれない。

[デザインの雫(日経デザイン編集長・日記)より引用]
日本の環境(地理/言語/歴史/文化)に根を張っているガラパゴス的要素は、今に始まったことではないし、変えられるものでもない。でも、そういう環境だからこそ育んでこれたものを大事に、外へ向って提案していけばいいのだ。もちろん、共生力を持った上で。

現に、本当のガラパゴス諸島のサウスプラザ島では、ウミイグアナとリクイグアナの交雑によって、両方の特性を保持した新種が最近生まれている(ハイブリッドイグアナ - Wikipedia)。
「ガラパゴス現象」という単語の使われ方が、ネガティブな意味でなく、ポジティブなものに変わった時は、きっと日本の「国際競争力」と「国際共生力」が上がっている時だと思う。

補足:巳年生まれなので、は虫類には肩入れすることにしている…とうのも事実だけど。

nice!(0)  コメント(3)  トラックバック(1) 
共通テーマ:仕事

nice! 0

コメント 3

NO NAME

>外へ向って提案していけばいいのだ。もちろん、共生力を持った上で。

具体的にはどういうことですか?
提案するのは工芸品や工業製品だけですか?

ちなみに日本の伝統工芸や地場産業が欧州で云々というのは、価格が非弾力的、大量生産が困難、そしてまた日本という地域性の高い商品が多いからであって、そのような産業は仏伊英のファッション業界など、多くの国で見受けられる現象です。フランス人の多くがLVのバッグを持っていないのと同じで、日本人の多くが西陣織や九谷焼を持っているわけではないでしょう。

日本の家内制手工業が欧州の市場を開拓=ガラパゴス現象脱却というのは本来論じられているこの問題と論点がずれていると思います。
LVの日本における消費のされ方がガラパゴスなのです。
by NO NAME (2009-02-07 17:49) 

tetsutaro

NO NAMEさん、こんにちは。
お忙しいところ、コメントにお時間を割いてくださり、ありがとうございます。

>具体的にはどういうことですか?
>提案するのは工芸品や工業製品だけですか?

少々感覚的に書いてしまった文章ではあるので、現時点でも具体的にはなっておりませんが、提案しなければ…と個人的に感じているのは「モノ」も含まれるとは思いますが、核になるのは「コンセプト」だと思っています。

>日本の家内制手工業が欧州の市場を開拓=ガラパゴス現象脱却というのは本来論じられているこの問題と論点がずれていると思います。
>LVの日本における消費のされ方がガラパゴスなのです。

「日本の家内制手工業が欧州の市場を開拓=ガラパゴス現象脱却」…になる(直結する)とは、全く思っておりません。…が、日本でのLV消費の現象については、NO NAMEさんのご指摘の通りだと思っています。

備忘のためブログに書き残しておこう…と思ったのは、藤沼さんが出された…という脱却のための「キーワード(国際競争力/国際共生力)」を、日本ならではの「何か」と、どういう「塩梅」で掛け合わせれば、(国際的なマーケットにおいて)共感もって迎えられ、共生しつつ、競争力となるのだろう?…ヒントはどこかにあるに違いない…という呟きです。そのような気持ちから、この文章を書いた(7ヶ月前ですが)…と記憶しています。

by tetsutaro (2009-02-08 04:21) 

tetsutaro

追記:
文章中の「日経デザインブログ」へのリンクが切れていましたので、修正しました。

by tetsutaro (2009-02-08 04:26) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。